センスに頼らない配色
配色のよしあしはセンスによる部分もありますが、知識で解決できる問題も非常に多く、大部分は知識で解決できるものです。センスだけに頼るのではなく、色彩の知識を使って、マイナス要素を減らすことでもよい配色は生まれます。
配色の問題の8割は知識で解決できる
色彩の問題をセンスの問題と捉えない
センスがあると思われる人が作ると、そこそこ美しい配色はできます。しかしウェブサイトで使われる色に限って考えると、実はセンスだけでは解決しない場合も多く出てきます。
「情報を伝える」というウェブサイトで最も重要な要素は、色の美しさとは別の問題で、それを解決するのはデザイナーのセンスではなく、しっかりとした色彩の知識やデザインの知識なのです。知識があれば色で生じる問題を解消することができます。
カラーコーディネートとは、センスに任せて美しい配色をすることではありません。広辞苑によれば、コーディネートとは「各部分の調整をはかって、全体が上手くいくように整えること」とあります。
このように書くと難しいとウェブサイトの目的をしっかりと捉え、色彩の理論を知り、目標を定めれば配色はけして難しいことではなくなるのです(もちろん簡単ではありませんが)。
物まねだけではよい配色は生まれない
また現在、公開されているウェブサイトの配色について述べられているサイトの多くは、「こういう色の組み合わせを使えばこんなイメージが出来ます」と言うものが多く、これは当サイトの開設当初(2014年)から現在(2016年)まであまり変わっていません。
これらの配色サンプルに掲載されている色を使って、実際にサイトへの配色を試された方も多いでしょう。
しかし、それをそのまま使って配色しても、納得の行く結果が得られることはほとんどありません。なぜならこれらのサンプルは色の持つイメージだけを重視し、ウェブサイトの目的を達成させるための方法やアレンジの方法がどこにも示されていなかったからです。
あるいはサンプルそのものがとてつもなくおかしい場合も多く、文字が読みにくい配色がイメージに合うという理由だけで勧められています。暗い色の背景にリンクを張ったテキストを置いて、訪問済みになった途端に読めなくなったりと、ウェブサイトの持つ情報がなかったかのように扱われます。
以下の図は、若干デザインを変えていますが、実際のサイトに置かれていたものと同じ配色です。
このような配色はウェブサイトの本来の目的を見失った表面だけをきれいに整えようとした配色で、少なくとも適切な色が使われていないため、カラーコーディネートと呼ぶことは出来ません。
ウェブサイトの目的は情報を伝えるものという前提に立てば、情報が十分に伝わる色になっているかどうかは、色選びの最重要項目であると言えます。
ではどうすれば情報が伝わりやすくなるのかは、後の項目でも順に述べていきますが、これらはある色を見て美しいと感じるような個人差の問題ではなく、理論できちんと行えることなのです。
色彩のセンスがないと感じるのは、最低限の内容の読みやすさについて、理論的な配慮をしてからでよいのではないでしょうか。