ウェブの配色を正しく行うには、ウェブならでは知識や技術も必要

一口にカラーコーディネーターと言っても、その業務範囲はファッション分野からインテリア・建築・工業分野まで多岐に渡るため、全てをカバーすることは出来ず、各々に得意分野があります。

例えばメイクアップに必要な色の知識と高齢者が利用する介護施設のインテリアに必要な色の知識は、同じ「色」であっても、まったく異なるものです。

同じようにウェブの配色の場合は単にきれいに色を合わせればよいだけでなく、マーケティングやブランディングに関する知識はもちろん、様々なインターフェイスやウェブコンテンツに関するJIS規格などの知識が要求されます。

ですので、カラーコーディネーターにウェブサイトを含めた配色の相談をするのであれば、きちんと操作性まで含めて考えられる人が理想です。ボタンの押しやすさや連絡先の見やすさは、ウェブサイトの成果に直接影響する部分ですので、「きれいなだけ」では、ウェブの配色としては不十分なのです。

ウェブの世界はどちらかというと、ファッションやメイクなどよりも、「人間が触って利用する」「勉不便がないようにする」ような工業製品や建築に近いため、機能性を損ねるような色を使う人は避けたいものです。

必要な知識を有しているか事前に確認する

カラーコーディネーターがウェブに対応できるかどうかを確認するのであれば、「JIS X8341-3:2016」を知っているかどうかで判断するとよいでしょう。このJIS規格は正式には『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ』と言います。

2016年4月に障害者差別解消法が施行されたこともあり、誰でも使える・使いやすいウェブサイトに向けた取り組みの意識は高まっています。

規格には高齢者・障害者と書かれているため、「うちのウェブサイトは高齢者や障害者は必要ない」のように考えられがちですが、例えば「メガネを忘れた」や「手を怪我している」ときにも使いやすいウェブサイトの方が望ましいはずです。

ウェブの色に関する重要な記載がされている規格を知らないカラーコーディネーターに配色を任せるのは、建築基準があやしい建築士に設計を依頼するようなものです。

それに配色の部分について、規格に書かれている基準を満たすのは難しいことではないので、依頼する前に「JIS X8341-3:2016の基準を満たすことができますか?」と質問すれば、ウェブ関連の知識も十分であることが判断できるでしょう。

カラーコーディネーター自身のウェブサイトを確認する

最近は色彩関連企業やカラーコーディネーターもウェブサイトやブログを持っておりますので、まずそれらを確認し、文字が読みやすいかを確認しておくことも必要でしょう。

カラーコーディネーターは色についてのプロです。自分で作ったウェブサイトであれ、プロのデザイナーに作ってもらったサイトであれ、色がきちんとしていないのは大問題です。特に外注の場合であれば、外注先にきちんとした色を提示できるスキルがないということです。

色の好き嫌いは別として、美しい配色を行っているのは当然のことですが、文字が読みやすいか、操作しやすいかについては十分にチェックするようにしましょう。

もしどうしてもウェブに関する知識が不足しているカラーコーディネーターに依頼するのであれば、デザインはプロのウェブデザイナーに依頼し、配色の基本方針やカラーブランディングのみをカラーコーディネーターに任せるようにするのが無難でしょう。

営業用のウェブサイトがきちんとしているかどうかは最も判断しやすいのですが、個人の嗜好がありますので、本当に依頼して良いか数人で確認すると良いでしょう。