カラーコントラストアナライザーが果たせるのは最初と最後

ウェブサイトにおけるカラーコーディネーターの役割は、大きく2つに分かれます。それは企画段階におけるカラーマーケティングです。そしてデザイン時における確認と最終調整です。実はこの2つは同じ色を扱う作業でも、まったく異なる事を行うのです。

まずはカラーマーケティングの部分ですが、サイトの目的を踏まえ、使うべきロゴ(ない場合には提案)の色や競合サイトの調査に基づく使用色の提案です。例えば水を使う企業では当然青系の水をイメージさせる色を使いたいはずですが、競合サイトと似すぎていると、比較された時に見劣りする場合があります。これは単にデザインが見劣りするという意味でなく、後発の企業(特に無名の企業の場合)には、真似されたと感じられることも少なくありません。

だからと言って、水のイメージなのにオレンジをメインで使おうというのもおかしな話です。このバランスを考えながら、どのような色合いにすれば、印象に残りやすいかを考えることも重要です。これを考える際には、実店舗が存在するかどうか、あるとすればその近隣にはどのような競合があるのかも調べなければなりません。

もう一つのデザインの確認と調整は、カラーマーケティングから導き出された配色がきちんとデザインに反映されているかどうかに加え、最終段階で重要なのはユーザビリティとアクセシビリティの確保です。

これは実際にデザイナーが色を付けてみないとわからないことも多いのです。ワイヤフレームだけでは、リンク色や見出しと本文の関係、ナビゲーションの認識しやすさなどはわからないので、情報をいかに伝達するかを考えれば、配色案を決めたらそれで終わりというわけにはいきません。(だが、そのようなカラーコーディネーターも多いです・・・) また特定の人にとって使いにくいような配色では、操作や閲覧が困難という理由で帰られてしまうかもしれません。色によって、無用な機会損失も生まれてしまうのです。

サイトリニューアルなどでは、情報をスムーズに流れるようにするだけで、1人辺りのページビューは落ちても、問い合わせ率が上がることもあります。これはわかりにくさがなくなり、目的のページへ到達しやすくなったことを表します。色の効果はきれいに見せるだけではないのです。

カラーコーディネーターは、SEOなどのサイトを訪問するまでの手段にはまったく手を出すことも出来ませんし、きちんとしたサイトが構築されていなかったり、商品や情報が魅力的なものでなければ、いかに色でごまかそうとしても消費者には見抜かれてしまうでしょう。

言い換えれば、有益なコンテンツやよい商品が持つ力を、スムーズな形で伝え、そのビジネスに貢献することが、カラーコーディネーターの最重要の課題となります。カラーマーケティングだけ出来ていてもサイトとしては不十分ですし、インターフェースなどの機能面だけが充実していてもサイトの効果は下がってしまいます。

例えるならば、カラーコーディネーターの仕事は、作戦立案における参謀(プロデューサー・ディレクターの補助をしてカラーマーケティング)と実践面における後方支援・整備(色彩実装の確認)のまったく異なる仕事を行う必要があるのです。しかし、いずれにしても、いかにサイトを訪問したユーザーの印象に残し、ストレスを感じさせない色を作り上げるかが腕の見せ所と言えるでしょう。

SEOなどの訪問数を上げる施策はもちろん重要ですが、訪問されてからどのように問い合わせ・購入につなげるかも重要ですし、そこには色が何らかの貢献が出来るはずです。